哲学的な要素を含んだ絵本の名作

ご紹介する絵本は、通算200万部以上を発行しているロングセラー作品です。
概要としては、輪廻転生を繰り返している一匹の猫が、やがて運命の相手と出会ったことで愛や悲しみを知っていく様を描いた作品。
この絵本が伝えたいことは、幼児ぐらいには難しく、哲学的な要素を含んだ内容になってます。
子供より大人からの支持が強いようで、「絵本の名作」と評価されている作品です。
奥深いストーリーを感じられる絵本をご紹介します。
「悲しみ」を忘れてしまっていたが…【あらすじ】
作・絵:佐野 洋子
出版社:講談社
ページ数、サイズ:31p、25×26.5㎝
※日本図書館協会選定図書
※全国学校図書館協議会選定図書
<五つ星評価>
ストーリー:★★★★★
絵・しかけ:★★★
教育・知育:★★★★
笑い・感動:★★★★
◇総合評価:★★★★
100万回も死んで、100万回も生きる、輪廻転生を繰り返している猫がいました。
100万人の飼い主に出会い、100万人の飼い主が、その猫が死んだとき、泣きました。
でも、猫は1回も泣きませんでした。
………。
あるとき、ねこは 王さまの ねこでした。ねこは、
王さまなんか きらいでした。
王さまは せんそうが じょうずで、いつも せんそうを
していました。そして、ねこを りっぱな かごに いれて、
せんそうに つれていきました。
ある日、ねこは とんできた やに あたって、
しんでしまいました。
王さまは、たたかいの まっさいちゅうに、ねこを
だいて なきました。
王さまは、せんそうを やめて、おしろに、帰って
きました。そして、おしろの にわに ねこを うめました。
………。
その他、ある時は船乗りの猫となり、又ある時はサーカスの手品つかいの猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫、小さな女の子の猫…と100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。
どの飼い主も猫の事が大好きで、その死に、泣く程悲しんだが、猫は自分の事だけが大好きで、それぞれの飼い主達のことが大嫌いだった。
そして、何度も生き返るので、死ぬ事にも、特に恐れていなかった。
………。
あるとき、ねこは だれの ねこでも ありませんでした。
のらねこだったのです。
ねこは はじめて 自分の ねこに なりました。ねこは
自分が だいすきでした。
なにしろ、りっぱな とらねこだったので、りっぱな
のらねこに なりました。
………。
猫は、100万回生きた事を自慢し、魅力を感じた周囲のメス猫たちは何とか猫の恋人になろうと、プレゼントを持ってきたり、毛繕いをして猫にすり寄ってくる。
それに気を良くしていた猫だったが、唯一自分に関心を示さず、自慢話にも素っ気ない反応しかしない一匹のメスの白猫が気になり始める。
何とか興味を引こうとするうちに、いつのまにか猫は、ただ白猫のそばにいたいと思うようになった。
そして、白猫も猫の想いを受け入れる。
猫は白猫と一緒にいるうちに、自慢話をしなくなっていた。
時がたつと白猫は猫との間に沢山子猫を産み、猫はあれだけ大好きだった自分より、白猫や子猫達の方が好きになっていた。
やがて子猫達も立派な野良猫になり猫の元を去って行った。
猫は白猫とこれからもずっと一緒にいたいと思ったが、白猫は段々と年老いてゆき、ある日猫の傍で静かに動かなくなっていた。
猫は生まれて初めて泣き、動かなくなった白猫を抱えて朝になっても昼になっても夕方になっても夜になっても100万回も泣き続け、ある日のお昼に猫は泣き止んだ。
そして猫も、白猫の隣で静かに動かなくなり、もう決して生き返らなかった。
「親御さん向け」に関連する絵本として、こちらも多く読まれています。
【絵本】『わすれられないおくりもの』失った友への悲しみを乗り越えていく<4歳~6歳児読み聞かせ絵本>
間違った”都市伝説”【感想・まとめ】
絵本にまつわるエピソードとして、「初回本は『100万回死んだねこ』だったが、教育上の理由でタイトルが変更された」という都市伝説が流れているようですが、そのような事実はないそうです(笑)
大人気の絵本だからこそ、都市伝説なども生まれたのでしょうね。
絵本選びの参考にしていただければ幸いです。
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