「グーテンベルク」は謎の人物?

これからご紹介する絵本は、印刷技術を発明した人物「グーテンベルク」の伝記絵本みたいなものですが、彼の人物記録としては、ほとんどなく、真の発明者は誰かということで古くから論争され、現時点では、グーテンベルクとする説が最も有力だそうです。
もの凄い歴史を変えた発明家ですが、歴史学者や研究家からも「グーテンベルクの生い立ちは謎に満ちている。」と言われるほど、グーテンベルクに関する記録が残ってないそうです。
そんな謎に満ちた人物を、作者の「ジェイムズ・ランフォード」さんが思い描く「グーテンベルク」の伝記絵本をご紹介します。
美しい本の作り手 ~写本から印刷本へと変わる…【あらすじ】
作:ジェームス・ランフォード
訳:千葉 茂樹
出版社:あすなろ書房
ページ数、サイズ:33p、28.5×22.5㎝
<五つ星評価>
ストーリー:★★★
絵・しかけ:★★★
教育・知育:★★★★
笑い・感動:★★
◇総合評価:★★★
ぼろきれと骨から紙を。
ススと亜麻仁油からインクを。
そして、鉛と錫から活字を……。
グーテンベルクは、どのようにして、それまで誰も見たことのなかった、この不思議な機械を作り上げたのか……?
絵本ナビ
オークの木の木材は、冬のあらしでたおれた巨木からとる。
木は丸太や厚板に切られて、大工の手にわたされる。
大工は、寸法をはかって切り、かんなをかけ、のみでみぞをほったりけずったりして、形をととのえる。
それを組みたてると一台の機械になる。
この機械に、木でできたねじをとりつける。
ふたりがかりで作業するほど大きなこのねじにたっぷり油をぬり、機械をピカピカになるまでみがきあげる。
巨人のようにがんじょうなこの機械、いったい、なんだとおもう?

グーテンベルクは金属の活字をならべてことばを作り、ことばをつないで文章にした。
こうして、1ページ分の活字を組みあげる。
つぎに、この重たい金属のページを、印刷機にセットする。
そこで、ひたいの汗をぬぐう。
「偉人伝記」に関連する絵本として、こちらも多く読まれています。
【絵本】『怪物があらわれた夜「フランケンシュタイン」が生まれるまで』作家メアリー・シェリーを描いた絵本<10歳~12歳児おすすめ絵本>
「本」という文化的産物が消えないように…【感想・まとめ】
絵本の最後のページに、訳者である「千葉茂樹」さんの《あとがき》が書かれています。
………。
電子書籍がポピュラーな存在となり、活版印刷はおろか、紙にインクで印刷した本さえもが、すがたを消すのではないかといわれている時代です。
けっしてそんなことにはならないだろうとは思っていますが、もしそうなったら、とても残念だというのが偽らざる気持ちです。
本書でも紹介されている、ゲーテンベルクの手による芸術品といってもいい美しさをたたえた聖書は言うに及ばず、紙に印刷された本は、その一冊一冊が、固有の美しさ、手触り、インクや紙の匂いなど、たしかな存在感を備えており、失うにはあまりにも惜しい文化的産物といえるでしょう。
………。
千葉茂樹
千葉さんがおっしゃる「本は文化的産物」という表現は、私も同調を感じた次第です。
絵本を美術品のように大事に扱い、未来に引き続き残していきたいですね。
絵本選びの参考にしていただければ幸いです。
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