退職理由で雇用保険資格も変わります

◆この記事は、私が会社を退職した際に、必要な手続きに関する事柄を記録したお話です◆
退職をして、次の就職先が見つかるまでの生活の安定を図るため、国が失業等給付を支給するという雇用保険制度がございます。
通称は、失業保険、または失業手当と呼ばれているものです。
その手続きについてですが、公共職業安定所(愛称:ハローワーク)への届け出が必要となります。
ここで重要なのが、「退職理由」について。
退職理由は、「自己都合」なのか、それとも「会社都合」なのか?
この二つの違いで、給付内容が大きく変わってきます。
というのも、給付を受ける場合、「自己都合」よりも「会社都合」のほうが、給付は優遇されます。
退職される多くの方々が、「一身上の都合により…」という退職届を提出して、辞めることが殆どだと思いますが、その場合は「自己都合」での退職ということになります。
私も実際、精神疾患(適応障害)により、 仕事をすることが困難となり、会社を「自己都合」ということで退職いたしました。
しかし、ハローワークでは、「自己都合」ではなく「会社都合」として手続きできたのです!
「自己都合」と「会社都合」の大きな違い
雇用保険制度で給付される基本手当(失業手当)ですが、退職理由によって、失業給付金の額や給付日数が違ってきます。
そして、退職理由が「自己都合」よりも「会社都合」の方が優遇されます。
もっとも大きな違いを上げると、退職理由が
<自己都合>の場合 …… 待機期間7日間に加え、その後2か月支給がない給付制限が設定。

<会社都合>の場合 …… 待機期間7日間満了後、すぐに支給対象期間が設定。

という違いがございます。
要は、早めに失業手当がもらえるということです。
そして、私が何故、「自己都合」ではなく「会社都合」になったのかをお教えします。
【結論】から言うと、病院に『病状証明書』を書いてもらう
いきなりですが、【結論】を申し上げると、「自己都合」ではなく「会社都合」になるには、病院で『病状証明書』を書いてもらい、ハローワークに提出する必要があります。
冒頭でお話したように、私の退職理由が「精神疾患(適応障害)により仕事をすることが困難」という理由で辞めました。
ですので、退職する1か月前から精神科に通院しており、退職後も継続して通院しておりました。
この通院中の期間というのが最も重要で、『病状証明書』を病院へ依頼できるポイントでもあります。
では、通院中の期間を具体的に説明いたします。

上記の①と②が当てはまる状況でないと、「特定理由離職者」には認められません。
例えば、①に該当しない例として
「退職日の前日までには、健康な状態で完治していた」と医師に診察を受けていたなら、適応外となります。
②に該当しない例として
「退職後に健康な状態まで完治した」と医師から診断をもらったので通院も終了。
その後、ハローワークから『病状証明書』を求められ、病院へ記入をお願いしたが、病院側では、すでに退院されている患者なので、現時点の病状を証明することができないと断られる。……など。
※要は、『病状証明書』を発行してもらうまでは、完全に病気が完治したという状態ではなく、お薬などを出してもらいながら、通院して経過観察状態でいる必要があるということです。
※病状証明書とは、ハローワーク側から提示される書式用紙です。病院側で発行可能な「診断書」とは異なる書類ですので、ご注意ください。
※『病状証明書』というのは、地域によって呼び方が違ったりします。「疾病証明書」「就労可能証明書」「主治医の意見書」などと名称が異なりますので、ご注意ください。
特定理由離職者への手続き【ハローワークでのやり取り―1回目―】
ここからは、実際に雇用保険手続きを行った時の記録をつぶやいていきますので、あしからず…。
退職日から20日後に、前職場から離職票が届いたので、地域のハローワークへ向かいました。
ハローワークの受付窓口で、まず最初に、必要書類の提示を求められます。
・離職票
・身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー記載のある住民票など)
・本人名義の通帳又はキャッシュカード
・顔写真2枚(縦3㎝×横2.5㎝)
・印鑑(シャチハタ印は不可)
・ハローワーク受付票(オンラインで登録可)
そして、ハローワークから、記入用紙を渡され、必要書類離職票の退職理由について異議はないか書類にサインを求められます。
そこで、記入用紙に目を通したころ、「自己都合」に異議がある場合の理由に、私の現状を示す内容がありました。
『特定理由離職者』とは、以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
1.体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
2.妊娠、出産、育児等により離職し……。
3.………。
※他文章は私に関係のない内容なので、文面は省いてます。
「ん?…1.の理由にある『心身の障害、疾病…』というのは、私も該当するのでは……。
記入用紙の異議の(あり、なし)欄には、ありに○を記入し、備考欄があったので、『精神疾患(適応障害)により退職』ということを書いて記入用紙を提出。
そして、ハローワークの担当者との面談で、退職理由の異議について説明。

担当者
退職理由が心身障害にあたるようですが、今も病院に通院中なのでしょうか?

はい。お薬を出してもらっているので、現在も通院中です…。

担当者
あの…、退職理由に納得いかないということであれば、会社側に異議申し立てを行い、退職の経緯について調査することも可能なのですが、調査には大変時間がかかるため、こちら側の判断で、『特定理由離職者』として手続きを行い、早めの給付手当を受け取ることも可能ですが、どうしましょうか…?

あー…、はい。その『特定理由離職者』という手続きでお願いしたいのですが…。

担当者
ではですね…、この『病状証明書』という書類をお渡ししますので、今通院している病院へ、書類に記入をお願いしていただき、その書類を提出して頂けますでしょうか?

わかりました。『病状証明書』を病院へ記入してもらうようお願いしてみます。
という感じで、この日は、失業保険の手続きなどは全く行われず、『病状証明書』の記入用紙を受け取っただけで、ハローワークを後にしました…。
次は、『病状証明書』の記入用紙を持って、いざ病院へ……。
『病状証明書』を病院で書いてもらう【病院・医師とのやり取り】
後日、『病状証明書』の記入用紙を持って、通院中の病院へ向かい、病院の窓口で『病状証明書』の記入をお願いしてみる…。

あのー…、ハローワークで失業保険の手続きを行っているのですが、必要な書類に『病状証明書』の提出を求められているので、書面の記入をお願いできますでしょうか?

……?…あ…。はい…。では、担当医師の先生に記入していただくよう渡しておきますね……。

…。あ、はい。宜しくお願い致します。

あ…。書類の受け取りは、お急ぎでしょうか?

あ、はい…。明日がちょうど診察予定日なので、その時に受け取りたいということで、お願いできますでしょうか…?

え…?明日ですか…?……はい。わかりました…。医師の先生に伝えておきます…。

…すみませんが、宜しくお願い致します。
窓口の担当者から、いつ頃受け取りが必要なのか質問されたので、ちょうど翌日が診察日だったので、明日の診察の際、受け取れるようにお願いをしました。
※ちょっと無茶な感じもしたけど、頻繁にこれないので…(-_-;)
そして翌日、診察の日なので、担当の医師と面談。

現在の体調は、どうでしょうか?睡眠は、ちゃんと取れてますか?

はい。おかげさまで、薬を服用しなくても眠れるようになりました。

それは良かったです。では、お薬は、もう出さなくても大丈夫そうですか?

はい、薬が無くても大丈夫です。

では『病状証明書』ですが、書面の項目で、「①退職前に働けない状態だった」とあるのですが、退職する前に、こちらの病院に通院しているので…、①に該当するということでチェックしておきますね。

それと、項目の「②退職後、病気は改善しており、働ける状態である」という項目があるのですが、本日の診察で、大丈夫と判断できましたので…、②にも該当するということでチェックしておきますね。

はい。ありがとうございます。お世話になりました…。
という感じで、無事、病院の医師に『病状証明書』を書いていただくことができました。
※正直、ここまでの手続きにストレスを感じて、眠れない日もあったのですが…(-_-;)
『病状証明書』の②の項目欄には、就労可能な日付も記載するのですが、この日付が、会社を退職した日の前の日付だと「特定理由離職者」として認められません。
※退職する前に、病気は治っていて、辞めなくても働ける状態にあったと判断されるため。
必ず、退職日後の日付でなくてはいけませんのでご注意ください。
そして、もう一度、ハローワークへ失業保険の手続きに向かうのでした……。
特定理由離職者への手続き【ハローワークでのやり取り―2回目―】
病院から『病状証明書』に記入してもらった後日、再度、ハローワークへ雇用保険の手続きに向かう。
本人の確認書類(写真など)や申請書などは、【ハローワークでのやり取り―1回目―】で提出および記入済みだったので、受付での処理はスムーズに進みました。
そして、担当者との再面談。

担当者
今回、『病状証明書』も確認できましたので、前回の面談でご説明したように『特定理由離職者』として雇用保険の手続きを取らせていただきます。

はい。宜しくお願い致します。

担当者
雇用保険の手続きにつきましては、3回の講習を受講していただく必要がございます。

…講習を3回ですか?

担当者
そうです。日程としては、本日からおおよそ、1週間おきに、講習日程が組まれ、3回の受講終了後の7日後に、失業手当が振り込まれる予定となっております。

………?

担当者
……。ですので、本日から、1か月後に、指定された口座へ、失業給付金が支給されるということになりますかね……。

……。あー…、わかりました…。宜しくお願いします。
というわけで、なんとか『特定理由離職者』ということで、手続きを終えたのですが、早めの給付といっても、講習なども受講終了した後の給付になるので、実際のところ、退職日から約2か月後の給付金振り込みということになります。
私の手続き手順が、おそらく早い日程で、手続きを進めているほうだと思いますので、ハローワークや病院への手続きが難しい人だと、さらに遅くなるので、退職日から3か月後にしか給付金が受け取れないということを考慮したほうが良いかもしれません。
手続きまでの長き道のり【まとめ】
今回の「雇用保険手続き」までのスケジュールをまとめてみました。
退職日の1か月前 … 精神疾患により休職
↓
退職(精神科に継続して通院中)
↓
退職日から20日後 … 離職票が郵送で届く
↓
翌日 … ハローワークへ雇用保険手続き依頼(1回目)。
「特定理由離職者」として申請願を願い、病状証明書用紙を受け取る。
↓
後日 … 通院先の病院へ病状証明書用紙への記入を依頼
↓
翌日 … 通院中の病院で診察。その際、医師が記入した病状証明書も受け取る。
↓
後日 … ハローワークへ雇用保険手続き依頼(2回目)。
病状証明書を提出し、「特定理由離職者」として申請が完了。
「特定理由離職者」の申請手続きに、ハローワークに2回、病院に2回足を運ぶことになりました。
移動にかかった運賃や手続きまでの時間などを考慮すると、給付が2か月遅れでも、一般離職者での申請が良かったかもしれません(^_^;)
それと、講習会や説明会などの参加を必ず行わなければならないので、まだまだ雇用保険の手続きには、いろいろと手間がかかるようです…。
雇用保険手続きのご参考になる記事になれば幸いです。
コメント